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ブログ特別編 非常用電源を作る

非常用電源を作る scene4    LVX6048の検証

やっとの事でインバーターが到着しました。
余りに長すぎて首が伸びきってしまいましたよ。
いよいよご対面ですが重量が34kgとの事でかなり重く大きさもそれなりで値段相応の代物です。
開梱してみると周囲にガッチリ緩衝材が入っていて、かなりしっかりした梱包です。



付属品リストには無い取っ手が2つ入っており、マニュアルの図を見ると上側に付いており、出荷時に付け忘れに気付いて入れたものでしょう。
カバーのネジには封印が有りますが、開けない事には取り付けられないので開けてみました。
でっかいトランスが頭のほうに載っておりこれが重たい原因で、せっかく開けたので観察させてもらう事に、電力が大きい分線も太くパーツ類もそれなりのものでした。
出力電圧を調整するトリマーでも無いかなと、思いながら基板も隅々まで見ましたがアナログ的に調整できるような要素は全く無く、全てプログラムによりデジタル処理されている様で、チョットいじれば電圧が変わるなんて事は無理なようです。
まあこんなものかな?という感じです。

まずはLCD画面で設定を確認しますが、何か電源が繋がっていないと表示できないので、グリッド入力端子にトランスで作ったテスト用の擬似単相3線式電源を接続してみます。
綺麗な緑色でLCDの設定画面が点灯しましたので、マニュアルに従って設定していきます。
マニュアルは得意な?英語なので商品到着までの間ずいぶん見たのですが、やはり実際に操作して動作を確認しないと判らない部分がかなりあります。
まずはLine modeを選択してグリッド入力通りにLoad Outputに電圧が出ている事を確認します。
ここはグリッドの電源がそのまま出力されているようなもので、入力と出力は電圧、周波数ともに当然ですが合っています。
次に今回の計画では使いませんが、バッテリー端子に電力元を繋いでここからの電力をインバーターでLoad Outputに出力させるテストです。
元々48Vを使うバッテリー方式は考えていなかったのですが、せっかくのチャンスなのでテストと言う事でいじって見ます。
しかしテストとは言え、48Vとなると12Vのバッテリーを4個直列にしなければならず、24Vくらいなら2個なので何とかなりますが4個となるとチョット無理で、仮のテストだけに買うわけにも行きません。
しかし、小さな負荷を掛けて出力される電圧と周波数を確認するだけなら、そんなに大きな電力は必要としないはずです。
仮に負荷に100w程度の半田ごてを繋いだとして、入力としては48Vなら3Aも流せれば足りると思い、実験用の電源を使う事にしました。
グリッド入力に単相3線式の100V/200Vを接続して、48Vの電源をバッテリー端子に繋いで、まず48VはOFFした状態で負荷に半田ごてを繋いで見ると、グリッド入力から負荷に電流が流れており、ここで48VをONしますが出力は全てグリッドから流れ、バッテリーからは流れず逆に充電動作をするようでこの機能は遮断する設定が無いようです。
この状態でグリッド入力からの入力をを遮断すると停電状態となり、全て48Vのバッテリーからの電力で賄って、出力電圧と周波数は設定した110V 50Hzになってしまいました。
つまり、グリッドからの電圧、周波数情報が無くなったときにLoad Outputの電圧と周波数はどうなるのか?と言う事でこの疑問はマニュアルでは判らなかったのですが、グリッドからの100VをOFFするとやはりBattery modeやOnly PV modeで設定された電圧と周波数に切換わってしまうようです。
この動作はチョット期待はずれでこのインバータをBattery modeでUPSのような使い方をする場合、停電すると今回の様に違う電圧が出てしまう事になり、停電前の電圧と周波数情報をメモリーしていて停電してもそのまま出力してくれるのかな?と淡い期待を持っていましたがダメでした。
このテストの結果幾つか判った事が有り、1つはこのインバーターの待機電力で、48Vを掛けたところ2.6Aの電流が流れて、これはAC110Vが発生していて負荷を掛ければ何時でも出力できる待機の状態で、これがインバータが消費する最低限の電力で125Wくらいです。
次に出力される電力の波形で、トランスで降圧してオシロで確認すると綺麗なサイン波でしたが、大きな負荷を掛けたときの波形もPVから入力してテストする時に見てみます。
よって、ここは擬似単相3線式電源を常時グリッド入力に接続してもダメと言う事になります。
つまり、グリッドに入力してバッテリーの電力をLoadoutに出力させる事は出来なくてUPSのような使い方しか出来ず、それも停電時に110VとなってしまうのでこのままではUPSとしてさえ使えません。この機能は使いませんが、予想した通りの期待はずれの結果となりました。

これで48Vでの動作テストは完了し、このままではUPSとしても使えない事が判ったので、いよいよ次はPV端子に繋ぐ高圧電源でやってみます。

色々考えた結果テスト用電源として、会社に設置されている30KWのソーラーパネルの出力の一部を一時的に拝借し、インバーターに繋ぎ出力の状況を確認しますが、先にグリッド入力には擬似単相3線式電源を繋いでおきます。
会社のソーラーシステムは5kwのスロットが6組あり、合計で30kwとなっているので1スロットを拝借すれば、売電実績から良い時なら3~4kw程度は出ているはずです。
夜間の発電していない時間に配線作業を行いますが、念の為ソーラーからの電圧が無い事を確認してから、ブレーカー1個を並列に増設し2個目のブレーカーとインバーターを繋ぎます。
これで2個のブレーカーにより本来の売電パワコン側とテスト用インバーター側を選択して切替えられる様になります。
次に昼間パネルが発電している時間帯に本来繋がっているパワコン側のブレーカーを切り、インバーター側のブレーカーをONしてインバーターに電源を送ります。
このテストは天気の良い昼間しか出来ず、場所もパワコンの設置場所の近くの為、ベンチでのテストとは異なり非常にやりにくいです。

最初にグリッドからの入力だけで出力を調べると、入力と同じ電圧、周波数が出ており、このとき無負荷でもグリッド入力には100Vで2.5A流れインバーター自身が250VA程度の電力を消費している事がわかりました。
(ここは後日メーカーに問い合わせたところ、無負荷なら160VA程度のはずとの事で、測定ミスかも知れません。)
当初、ここに繋ぐ擬似単相3線式電源から流れ込む電流は小さいもので、電圧と周波数情報だけを取るのかと思っていましたが、インバーターを動作させるための電力をグリッド優先で貰っているのでしょう。
やはりマニュアルだけでは判らないものですね。

いよいよここでインバータのスイッチONすると、LCDの表示画面にソーラーパネルからの電圧が256Vと表示されました。
出力側は無負荷の状態で出力の電圧、電流を見るとやはり入力と同じ値で入力に同期している事がわかりホットしました。
ここでグリッド入力を切ってOnly PV modeで動かしてみると、バッテリーの時と同様に設定された110V、50Hzで出力されてしまいます。
100Vで50Hzを出す為にはやはりグリッドに入力が必要です。
ここまでOKなので負荷として1kwの電気ストーブを繋ぎますが、ヒーター負荷は突入電流が3~4倍流れるので、別電源で赤く発熱させた状態でサッと繋ぎ替えるるとブーンと言う音が少しして、1kwの負荷を繋いでも正規の電圧を維持して耐えています。
しかし、ソーラーからも流れていますが、グリッドからも流れ込んでおり、これではダメなので設定を見直しますが、その前にグリッドを外した状態でソーラーからのPV入力のみで、1kwのストーブを動かすと難なくヒーターが赤くなり、しっかり出力していますがこの時の電圧は110Vになってしまいます。

整理すると、Line modeで100V、50Hzを出力させる為に擬似グリッドに繋いでにより運用しようとすると無負荷であれば良いのですが、負荷が増えるとグリッドからの入力電流も増えてしまうと言う現象が起きており、このままではLine modeは使えないのでメーカーに問い合わせてみます。
PV入力不足の時は仕方ないですが、十分な電力がある場合は総てをPV入力で賄うものと思っていました。
これがダメだとOnly PV mode で使う事になり、このモードでは電圧は別としてしっかり出力しているので、最悪110Vの電圧を100Vに下げる為に重さ6.5kgのトランスを2個使えば何とかなる事は確かです。
でも34kgの本体にトランス2個で13kg、合計47kgではチョット重過ぎるので何とかしたいです。

このインバーターに100V/200V設定が有れば何のことは無く、何も繋がなくてそのまま使えるのですがそうは行かず、今回のような用途向けに量産でもするのなら最初から設計して、Only PV modeだけで動作し、バッテリー入力や充電回路、グリッド入力は不要でシンプルなインバータが出来るでしょう。
でも、今回の様な用途に使うのは本来想定しておらず普通に使えるほうが販路が広くなるので、この様な仕様になってしまうのでしょうが、せめて電圧だけでも何とかして欲しかった。
メーカーさん、100V/200Vを設定に加えると日本にも販路が広がりますよ。
とは言っても世界的に見たら日本の需要数なんてたかが知れているからね。
余談ですが、海外の色々な製品やソフトを見てきましたが、認証や規格、言語などが日本に対応したものは少なく、海外から見た場合日本の市場は小さくあまり魅力が無いのでしょうかね?
そう言えば昔、良く中国で『日本人はうるさい事ばかり言って少量しか買ってくれない。』と言われたものでした。
     
     
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