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ブログ特別編 非常用電源を作る

非常用電源を作る scene12    おわりに (最終回)

実証実験が無事終了し、少し苦労しましたが何とか上手く組み込む事が出来、これで最大6kwの電力を出せる非常用発電車がやっと完成してホッとしています。

昔から車のエンジンの動力を取出す方法としてPTO(Power Take Off)と言う方式があり、コレは作業車両や4輪駆動車などのトランスミッションから機械的に動力を取出し、ウインチや消防車のポンプ、ダンプカーの油圧ポンプ、そして発電車用の発電機などを駆動するもので、走行する為の車のエンジンから動力を分けてもらう装置です。
走行する為の動力源を別の目的の為に分けてもらう、と言う広い意味ではコレも一種のPTOなのかも知れません。

また別の見方として、トランスフォーマーと言うキャラクターが有りますが、これは車がロボットに変身すると言うもので実在する訳では有りませんが、この非常用発電車は普段はお母さんのスーパーへの買い物の足などとして愛用されている小型車でありながら、イザと言う時には瞬時に力強い最大出力6kwの非常用発電車に変身し、どこへでも自走して行きそこで長時間に渡りに電力を供給する事が出来ると言う、形こそ変わりませんがまさにリアルトランスフォーマーです。

コンビニや精肉店、鮮魚を扱う生魚店など業務用の冷蔵庫、冷凍庫を保有しているところで使う車の1台をこの非常用発電車にしておくと、普段から気にしなくても停電対策が出来てしまい、冷蔵や冷凍されていた製品をダメにしてしまう事も無くなります。
また、普段使っている車をこの車に替えるだけでBCPの電源の確保は達成でき、災害時などには自分のところで使う必要が無ければ、自走出来る車なので避難所や医療施設などに貸し出す事も簡単に出来ます。
何の変哲も無い普通の小型車が最大6kwの発電能力を持てると言う事は大きな意味を持っており、他にもアイデア次第で色々な使い方が出来るのではないかと思います。



ノートeパワーと言うこの車は何もしなければ何処にでも有る普通の小型車ですが、ひと手間掛けるだけでこんな形に変身できる潜在的な能力を持っており、それを上手く引き出せた計画だったと思います。
写真は3kwの負荷としてリーフ用の充電器を繋いでリーフe+に充電している様子で、電気自動車のリーフをノートeパワーから充電していると言う面白い光景です。
出力のテスト中電気ストーブなどを使って負荷を掛けていましたが、この様にリーフを負荷として充電する事で電力が無駄にならず、この時の電力は現状出力電圧を110V/220Vのままテストしているので、通常3kw充電のところを3.3kwで充電しています。

この非常用発電車と同程度のエンジン発電機を見てみると、ネットの広告から拾った1例ですがスペックは50Hzで5.2kw、60Hzで6kw出力 単相3線式出力で、サイズは全長1,140mmX全幅650mmX前高795mm  重量は何と239Kgと言うものになってしまい、価格も約60万と非常時の時だけに使う為の電源として常設して置くには、大きくて場所も取り費用も初期費用、メンテナンス費用とかなり掛かります。 
     

それに対してこのeパワーを改造した非常用発電車は普段は普通の小型車なので、置き場所はいつものガレージで特別にスペースを用意する事も無く、車検や法定点検を行っているので異常や故障は発見しやすく、インバーターのテストだけを定期的に行えば管理に気遣いはいりません。
実際に駐車場や換気したガレージで運用しても、発電機のような大きな音は出ず周囲に迷惑の掛かるような騒音も出ませんし、発電機のようにエンジンが掛かったままで無く負荷により、自動的に起動/停止を繰り返します。
何と言ってもこの車であれば特別な停電対策は不要で普段使っている車が非常用の発電車になる為経済的で、最大6kwの電力が取り出せる事で何も災害等の非常時だけで無く、キャンプやイベントなどの屋外や電源の無いところでも電源を簡単に供給できます。

しかし、全てに優れていると言う訳でも無く弱点もあり、インバーターの特性として瞬間であっても過負荷に弱いという点が有り、少しずつ負荷を増やして行けば最大の6kwまでは持っていけますが、繋ぐ負荷によって突入電流の大きい物もあり、今回のテストの様に電気ストーブ等を負荷として使った場合には、セラミックヒーターで3~5倍、ランプヒーターで10~15倍と大きな突入電流が流れ、繋いだ瞬間に一瞬の過負荷により保護回路が働いて出力を遮断してしまう事もあります。
これらの事を考慮して常時使う電力は定格の7~8割くらいで考えておくと良く、どんなものでもそうですが定格いっぱいで連続して使うなんて事は避けたほうが賢明でしょう。

これらはインバーターの弱点であり、それに対してグリッドやエンジン発電機などからの電源供給であればはその点、多少の過負荷に対して若干の電圧降下はしても持ちこたえると言う、粘り強さが有るので電源が落ちてしまう事はなくこれは優位点です。
そんな訳でインバーター式の電源の場合にはこの当たりの特性を理解して、意識した使い方をすれば十分な使用に耐える事でしょう。

色々と試行錯誤しながらここまでやってきて、中古のノートeパワーに最大6kwの発電能力を搭載し、非常用の発電車とする事が出来ました。
今回の実証実験に当たり畑違いな分野の為、間違えや勘違い等多々有るかと思いますが、あくまでも個人的な興味による実証実験の範囲とご理解ください。

最後に、この無茶で無理の有る計画の実行に当たり、色々とアドバイスやお手伝いを頂いた方々に、この場をお借りしてお礼申し上げます。 
そして、ここで試作した非常用の電源車等が活躍するような災害の起らない事を願ってやみません。
     
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