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ブログ特別編 非常用電源を作る

非常用電源を作る scene2    オフグリッドインバーター

MPP SOLAR 社のLVX6048とは完全なオフグリッドインバータで、このインバーターは電源事情の悪い国などで、ソーラーパネルとバッテリーを組合せて電源を出力する物で、オフグリッドでフルパワー出せるところが魅力ですが、6kwの出力は110V/220Vと海外仕様でそのままでは使えないので工夫が必要です。 

ではなぜPV端子に接続するような高い電圧の入力を求めるかと言うと、インバーターの一次側に流れる電流の問題です。
通常この手のインバーターは48V程度のバッテリーを電力元として考えており、PV端子より300Vを供給する時に比べて電流は6.25倍で、もしこれを普通12V入力のインバーターで考えると何と25倍にもなってしまいます。
今回は最大出力6kwを計画しておりインバータの変換効率を95%とした場合、PV端子より300Vを供給できれば約21Aで済みますが、48Vでは約135Aで12Vの場合は何と約526Aにもなり、とんでもない大電流が流れてしまいます。
526Aを流す為には断面積が250mの電線を必要とし、これは1本の銅線で考えると直径18mmの線と言うより銅の丸棒になってしまいます。
この様に電流は銅線の抵抗により熱となって損失になるので、同じ電力を扱うのであれば電圧を高くして電流を小さくしたほうが良い訳です。
電圧が高い分耐圧には注意が必要ですが、300Vくらいなので絶縁をしっかりして、電流も21A程度であれば3.5sqの電線で37Aまで流せて配線が楽になります。
中国製でも同様のものが多く見られますが、台湾製のこの製品は北米や中東などでも評判が良いようなのでこれに決めました。

今度は出力側の話になりますが、国内での家庭用配電盤には単相100V又は単相3線式と言う3本の線で電力を送る方式が多く、最近のほとんどの住宅はこの単相3線式です。
これは良く出来た方式でL1-N-L2と3本の線があり、L1-N、N-L2間ではそれぞれ100Vが出て、L1-L2間では200Vが出ます。
二つの100Vは位相が180°ずれており、その為にNを挟んで両端で200Vが取出せる訳で、これはエアコンやヒーターなどの大きい電力の家電製品に使います。
(電圧が2倍なので電流は1/2になり、電線の太さも半分で済みます。)
ここで面白いのはNの線は両側の電流が流れるので、単純に太さが2倍必要と思いがちですが、ここは位相が180°ずれている為に両側の電力の差しか電流は流れません。
この単相3線式と言う送電方法ですが、普通だと2組の電線で電力を送る場合は合計4本の電線が必要となりますが、2組の位相を180°ずらす事で1本を共用させて3本の電線で電力が送れ、そして両端を使えば200Vが取出せる為に200V用に別の電線を引く必要も無く良く考えられたエコなシステムで感心します。

このインバーターのスペックは出力6kw、AC110V/AC220V、周波数50HZ/60HZ、PV入力DC120V~450Vと幅も広く、高さ590mmX幅365mmX奥行き138mmで重量34Kgです。
これでLVX6048の素晴らしさはお判りと思いますが、問題は唯一出力が100V/200Vに設定出来ず、近い設定でも110V/220Vが限界でこのままでは使えません。
MPP solar 社とも何度もやり取りし、調整して何とか100V/200Vに調整出来ないか交渉しましたが、結局本体をいじって出力を変更するのは無理との結論に達しました。
しかし、この計画の為にパワコンを含め色々なインバーターを模索しましたが、このLVX6048が一番現実味の有る製品と言う事になりました。

     
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